実家対策に欠かせない押さえるべきポイントとは?
■相続するときには、まず現状を把握しよう
実家の将来を考えるときに、把握しておいたほうがいいポイントはいくつかあります。
当然ながら、実家のことだけを考えるわけにはいきません。
なぜなら、実家をどうするのかは「相続」と直結しているからです。
相続の基本は、実家・預金・マイナスの財産といったものすべてを「法定相続人」が引き継ぎます。
相続が発生する前であっても相続が発生していても、まずは現状把握をするところからはじめることが必要です。
現状把握をしておいたほうがいいのは、
・相続人は誰なのか
・実家の情報
・実家以外にどのような資産があるのか
ということです。
■家族構成による法定相続人・法定相続分を知る
まず、相続人は誰なのかをしっかりと把握することが大切です。
そのためには、民法の「法定相続人」の概念を知っておく必要があります。
法定相続人は、被相続人(相続される人)の家族構成によって変わってきますが、法定相続分まで押さえておけば十分です。
<法定相続人と法定相続割合(( )内は、法定相続割合)>
①配偶者と子どもがいる場合
配偶者(2分の1)、子ども(2分の1を人数で分割)が法定相続人となります。
なお、子どもが亡くなっている場合は、その子ども(孫)に相続権があります(代襲相続)。
そして孫が亡くなっている場合は、ひ孫に権利が移ります(再代襲相続)。
②配偶者がいて、被相続人の親が存命の場合
配偶者(3分の2)、親(3分の1を夫婦で分割)が法定相続人となります。
③配偶者がいて、被相続人の親がすでに死亡、兄弟姉妹が存命の場合
配偶者(4分の3)、兄弟姉妹(4分の1を人数で分割)が法定相続人となります。
なお、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、その子どもまで相続権があります(一代のみ代襲相続)。
④配偶者がいない場合
親が存命なら親に100%(夫婦で分割)、親が死亡していれば兄弟姉妹に100%(人数で分割)。
相続人ではない相続人の配偶者が、意見を出してくるのはよくある話です。
そういったときのためにも、「相続人は誰なのか」ということを明確にしておく必要があります。
なお、遺産分割の話し合いを行い、それを元に銀行口座の手続きや登記を行うには、法定相続人の範囲が間違いないかを確認しなければいけません。
その際、被相続人の出生から死亡までの、「戸籍謄本」が必要です。
■これだけは用意しておきたい実家の情報
実家の情報を正しく押さえておくことは、当然ながらとても大切なことです。
少なくとも、次のものだけは用意することをおすすめします。
・登記簿謄本
物件の所在や所有者が載っています。
土地・建物が別になっているので、両方とも取得するようにしましょう。
基本的には、実家がある場所を管轄する法務局でなくても取得することができます。
なお、かならずしも登記簿謄本に正しい情報が記載されているとは限りません。
実態と違いがないかを確認するためにも、登記簿謄本を見ておきましょう。
・固定資産税評価証明書
市役所や区役所でも取得できますが、毎年6月頃に実家宛てに送られてくるものです。
価格そのものではありませんが、価格の基準になる数字を確認できます。
・図面
物件の間取り図や平面図があれば、用意しておきましょう。
不動産業者に売却や賃貸に出す相談をするときに、役立つ可能性があります。
さらに、次の2つの書類があるとベストです。
・購入当時の売買契約書類
売買契約書や重要事項説明書といった物件購入時の資料があれば、一式用意してください。
とくに、売買契約書があるかないかによって、売却する際の譲渡税の計算に大きく影響してきます。
・確定測量図、境界確認書
ご近所と境界で揉めるケースも増えています。
将来のトラブルを防ぐ意味でも、これらの資料がないか、あらかじめ確認しておきましょう。
実家の相続は、プロでない限りわからないことが多いものです。
ぜひ、ポイントを把握し、安心して取り組んでいけるといいですね。