節税から空き家管理まで 相続で役立つ知識を身につけよう
◼️3000万円控除を活用して節税する
お客様から日々ご相談をいただくなかで、
「何かお得になる情報はありますか?」
と尋ねられることがよくあります。
今回はそのなかから、
売却や相続に関するお得で役立つ知識をご紹介します。
最初のテーマは、
「相続空き家の譲渡所得に使える3000万円特別控除」です。
不動産を売って利益が出れば、本来は譲渡所得税がかかります。
でも、自分が住んでいた住宅の場合、所有期間に関係なく、
3000万円までの利益は控除されるしくみがあります。
つまり、利益が3000万円以内であれば、税金はかからないのです。
では、親の相続で受け継いだ実家が、
しばらく空き家だった場合はどうでしょう?
「居住していたことが条件なら、この控除は使えないのでは?」
と思うかもしれませんね。
「空き家になった実家は、控除を受けられない」
と思われがちですが、
要件を満たせば3000万円の特別控除を受けられることがあります。
たとえば、
・相続が始まるまで被相続人が住んでいた
・昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建てであること(マンションは対象外)
・相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
といった条件に当てはまれば、適用される可能性があります。
条件をクリアできるなら、ぜひ検討してみたい制度です。
ただし、途中で賃貸に出してしまうと特例が使えなくなるので、
注意する必要があります。
さらに、この制度は令和5年12月31日までの
時限的なもの(延長の可能性あり)なので、
期限も忘れずに確認しましょう。
◼️「小規模宅地の特例」を理解していますか?
相続の際に活用できる「小規模宅地の特例」を、
正しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
「小規模宅地の特例」とは、
亡くなった人が住んでいた自宅の土地の評価額を
8割減らしてくれる制度です。
相続税がかかる人にとっては、この制度を使えるかどうかで、
支払う税額が数百万円から数千万円も違ってくることがあります。
この特例を受けられるのは、
配偶者や亡くなった方と同居していた親族です。
一定の条件を満たせば、
同居していない親族でも対象になる場合があります。
ただし、相続空き家の譲渡所得3000万円特別控除と同じように条件が細かく、
相続税の申告も必要になります。
だからこそ、専門家に相談して確認してみることをおすすめします。
◼️将来を見据えてひとつ飛ばし相続を計画する
相続税が発生する場合、たとえば、おとうさまが亡くなって、
おかあさまとお子さまが相続する際には、
「相続税の配偶者控除」を利用するのが一般的です。
この制度は、配偶者が相続する財産について、
1億6000万円まで、または配偶者の法定相続分までであれば、
相続税がかからないというものです。
そのため、多くの場合はおとうさまが亡くなったときに、
おかあさまがご自宅を相続する形をとります。
ただし、相続税がかからないケースであれば、
「ひとつ飛ばし」でお子さまが相続することも可能です。
相続人同士で話し合い、
将来的にその家を引き継ぐ予定のお子さまが取得しても問題はありません。
もちろん、お子さまが親より先に亡くなる可能性もあります。
その場合、お子さまに配偶者がいれば、
その配偶者に不動産が渡ってしまうリスクも考えられます。
だからこそ、相続を考えるときには、
残された親御さんの将来の相続まで含めて検討しておくことが大切です。
◼️空き家の不具合を「住宅診断」で確認する
親御さんが亡くなったあと、実家が空き家のままだと、
気づかないうちに住宅の状態が悪くなっていることがあります。
そのようなときに役立つのが
「住宅診断(ホームインスペクション)」です。
プロの目でチェックしてもらうことで、
表からはわからない不具合を見つけられることもあります。
診断費用は7〜10万円程度です。
売ったあとに問題が見つかってトラブルになるより、
事前に調べておくほうが安心できます。
住宅診断は、専門の業者が対応してくれますので、
相談してみてくださいね。